Car Office New Tral 代表
千代田商事株式会社 代表取締役社長
大橋 健志

あきらめの悪さがもうひとつ深い輝きを生む。

神戸方面から尼崎駅到着前の阪神電車の車窓から、イタリアンカラーで彩られた看板が見える。「Car Office NEW-TRAL」。自動車のコーティングやリペアなどカーディテーリング事業を中心に、最近では修理や販売にまでその領域を広げつつある会社だ。ガレージで作業を黙々と続ける代表の大橋健志は、同志社大学を卒業し、橋梁建設で業界トップの横河ブリッジに勤めていた元エリートサラリーマン。将来を約束された道を捨て27歳の時に突然辞表を出し、紆余曲折を経て今このガレージで汗を流している。ブランドスーツをツナギに着替え、業界に一切の基盤を持たないなかで、人付き合いとその人柄で1件1件着実に得意先を増やし、今では一ヶ月先まで予約が埋まるほどオファーが殺到している。そんな男のいきざまを追ってみた。

人生の大きな岐路となった1日10時間以上の大学受験勉強。

大橋健志は、1978年に会社を経営する両親の長男として生まれた。生まれも育ちも尼崎である。中学生の頃から、TVドラマの影響でエリートサラリーマンという“響き”に漠然と憧れ、高校時代には、それをめざすようになっていた。

「受験勉強のスタートが遅かったこともあり、先生方からは志望校への合格が難しいと言われていました。でも簡単に諦めたくなかったので、毎日十数時間勉強し続けたんです。」

その結果、現役で第一志望だった同志社大学経済学部に合格。18 歳での経験が、その後の人生に大きな影響を与えているという。

「周りに何を言われようが、諦めなければ思い描いた成果をつかむことができる。Never Give upの気持ちが今でも自身の事業の取り組みのベースになってますね。」

大橋の自慢でもある『何をするときでも楽しみながらできる』『あきらめが悪い』という性格も幸いしたのだろうと語ってくれた。

好きなことにはとことん深みにはまる、こだわりの人生。

大学時代はサーフィンにはまり、暇さえあれば国内外の海へショートボードをかついで出かけた。海に行かない時は、ストリートダンス仲間と街中でダンスの練習をしたり、バンドを組んでドラムを担当したり、楽しすぎて時を忘れる日々だった。

「全部が決して上手い分けじゃないんです。普通の人なら“オレ上手くないから”って諦めるレベルなんでしょうけど、だからこそ少しでもうまくなりたくて、トコトンやってしまう。あきらめが悪い性格は大変ですよ。」

この頃から、モノを選ぶ時も、こだわりが強くなってきたという。

「実績やブランドも大切に感じるが、何よりも安全性と品質、信頼、効果、影響力を重視するようになりました。」

何に対しても、上手くなるまでとことん深める。明確なモノ選びの基準を持っている。それが今の仕事にもつながっていくのである。

人生や日々の生活を主観的に生きていきたい。

大学卒業後は、中学生時代からの夢が叶って“エリートサラリーマン”として社会人生活をスタートさせた。周りから見れば順風満帆の人生だったが、大橋の心の中には、それとは異なる想いが次第に大きくなっていった。

「ある程度自分の人生や日々の生活を主観的に生きたいという思いがあり、自分の人生が楽しくなる事を選択してきたら、結果的に独立していたんです。」

退社後は、時間とお金に縛られず自由に生きている事業家の方々に、その考え方を学び、株の勉強やBarの経営をしてみたり…。いまでは、その事業家の方々から、トレード方法の相談をされるほどにまでなった。

いくつかの事業を進めていくうちに、ひとつのビジネスチャンスを感じたのが、カーコーティングの事業だった。本物のコーティングを施工し、それを適正価格で提供すれば、多くの人たちに喜ばれるに違いないと感じたからだ。

「常日頃から、自分自身が良いと思うモノ・サービスを提供していきたいと考えていました。本物のコーティングのキモは下処理である研磨作業なんです。この研磨作業を怠ってしまうと、高品質なガラスコーティングであっても仕上がりは酷いモノになることに気づいたんです。元々キレイ好きな自分と、やり出したらトコトン追求する性格から、今では『予想を上回る』『手を抜かない』仕事を提供できるようになりました。それを理解し、関わっていただいている方々に、とても感謝しています。」

事業存続の危機から学んだ、<br>お金では解決できない“信頼”の大切さ。

「お預かりしたクルマをお客様に引き渡す際、“綺麗にしてくれてありがとう!”と言われた瞬間に充実感を感じますね。さらに、そのお客様がクルマを買い替えた時に、引き続き当社にお仕事を依頼していただけた時は信頼していただけているんだと、より大きな幸福感を感じます。」

スケジュールが予約で埋まり、感謝の言葉を受け取る機会も増えてきたが、まだまだ今も現在進行形で成長途中と謙遜する。ここ数年は右肩上がりの成長を続けているが、最初からすべてがうまくいった訳ではない。

「起業当初は低価格施工ばかりを追及した影響で、さばけない程の仕事量を受注したんです。その反動で品質維持が難しくなり、信頼を失ったことで、取引停止が相次いだ。事業存続の危機を感じた瞬間でした。」

この事業をどうやって継続させるかというタイミングを向かえ、現在も掲げる「高品質・適正価格」が実現可能な体制を整え、営業を再開。今では多くのお客様に支持され、それまで以上の信頼を得ることになった。また、中古車の販売なども並行して行っているので、購入したクルマにコーティングや内装リペアを行って納車するサービスも好評だ。さらに、FIC の環境があることで、他の業界に関することでもお客様の悩みを解決できるようになり、信頼の輪の拡がりを実感しているという。

「今後は車の販売から点検・修理といったトータルプロデュースを可能にし、カーライフを通じて一人ひとりのお客様と末永いお付き合いをしていきたいですね。」

この夢も、それほど遠くない未来に実現することだろう。
そう、大橋健志は、あきらめの悪い男なのである。

text by Hayashi“rice”Tomoaki


Car Office NEW-TRAL
カーケアは『wax』から『コーティング』の時代へ。

尼崎を拠点に伊丹・西宮・神戸・大阪と阪神間で車のコーティングやリペアを手がけているCar Office NEW-TRAL。コーティングの特徴は、耐熱性や耐候性で、効果の持続期間も半年から3 年以上とWAX のとは比べものにならないことから、コストパフォーマンスでコーティングを選ぶ人も急増中。ディーラーや販売店からの依頼がほとんどだが、個人で直接依頼してくるお客様も増えてきている。出張対応や代車の手配等もしてくれるので、まずは気軽に相談してみるのもいいだろう。

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